DC24V 4Hzパルス回路設計(ソフト版)

エレキ設計

情報のダイレクトリンク
 ・概要ブロック図作成のすすめ
 ・フリーの設計支援ツールTINA-TI
    TINA-TIエディタ、TINA-TI新シンボル作成、シミュレーション
 ・PICマイコン設計支援ソフト
    MPLAB X IDEMPLAB XC8とは・インストール
 ・PICマイコンソフト設計、詳細

※TINA-TIは、Texas Instruments および DesignSoft, Inc.の商標です。
※PICマイコンは、マイクロチップ・テクノロジー(Microchip Technology)社の
マイクロコントローラ製品です。

この記事でわかること

同じ仕様でも幾つかの設計が有るので、
先のDC24V 4Hzパルス回路設計(ハード版)と同じ基本仕様を元にして、別回路(ソフト版)を
作成します。

ソフト版は、PICマイコンのソフトプログラムで、4Hzパルスを生成します。

下記の一連を作業項目として、項目毎に詳細に説明します。
・概要ブロック図と説明
・回路図と部品表
  TINA-TIのエディタの基本操作
・各回路部の設計
・TINA-TI回路シミュレーションと検証
  TINA-TI回路シミュレーション基本操作
・PICマイコンのソフトの設計
  PICマイコン支援ソフトの基本操作
・実回路と評価

同じ機能の能動素子について、ソフト版とハード版で使用する部品を表に示します。
本記事では、”ソフト版”欄の部品を使った設計を行います。

項目ソフト版ハード版備考
降圧DC-DCコンバーター
DC24V→DC3.3V
三端子レギュレーター
DC24V→DC5V
パルス発生PICマイコンタイマーIC
スイッチング機能スイッチング
トランジスタ
ロジックIC
インバーター
DC24V制御フォトリレーフォトリレーソフト版とハード版同
表示LEDLEDソフト版とハード版同

同じ仕様の DC24V 4Hzパルス回路設計(ハード版)は、こちら

基本仕様

  • 供給電源DC24C
  • DC24Vパルス、周期4Hz(LED点灯)

  (電気・温度特性、寸法、各種規格準拠、その他については、割愛します。)

概要ブロック図と説明

下記に、DC24V 4Hzパルス回路(ソフト版)の概要ブロック図を示します。

水色枠:DC24V
緑色枠:DC3.3V

各ブロックの説明

  • DC24V→DC3.3Vの電圧変換回路
    DC-DCコンバーターを使い、DC24VからDC3.3Vに降圧します。
    能動素子のPICマイコン、スイッチング トランジスター、フォトリレーの発光側の電源とします。

  • PICマイコンで4Hzパルス発生
    持ち合わせの都合上、マイクロチップ製マイコンPIC16F1778を使い、4Hzパルスを生成します。
    パルス停止スイッチを設けました。
    マイコンには、動作させるソフトが必要です。

  • ソフト開発に必要な支援ツールを下記に示します。
    1.MPLABX 統合開発環境(IDE) MPLAB X IDE
    2.MPLAB XCコンパイラ MPLAB XC
    3.MPLAB コンフィグレーター MPLAB Code Configurator (MCC)
    ※MPLABは、マイクロチップ・テクノロジー(Microchip Technology)社の
    ソフト支援開発ツールです。
  • PCとターゲットボード間のコネクト・キット(ハード)
    1.インサーキットデバッガー PICkit4

  • DC3.3V→DC24V 4Hzパルス スイッチング回路
    DC3.3V 4Hzパルスは、フォトリレーを使いDC24V スイッチング タイミングを制御します。

  • LED 4Hz点灯回路
    DC24V 4Hzパルスのタイミングで、LEDを点灯させます。

(LEDを点灯する事が目的ですとDC3.3Vから設計する事を考えますが、本回路の目的は、DC24V電源の部品を駆動させる事です。FA(Factory Automation)で使用されている部品は、DC24V系が多種あるためです。)

回路図と部品表

作業では、受動素子(抵抗器、コンデンサー)を決めた後で、回路図作成の作業となりますが、本報告では、先に回路図を記述し、後で受動素子について設計報告します。

DC24V 4Hzパルス回路(ソフト版)の回路図を下記に示します。
図面作成には、TI(Texas Instruments)社のフリーの設計支援ソフトTINA-TIツールのエディタ機能を使います。

新規に作成したシンボル(黄色)

・U1 PICマイコン(PIC16F1778)
・U2 フォトリレー(TLP241A)
・U5 DC-DCコンバーター(CC3-2403SF-E)

部品表

部品名メーカー名型式個数3.3V系電力
[mW]
備考
DC-DCコンバータTDKCC3-2403SF-E1DC3.3V電力容量
2.64W
PICマイコンマイクロチップ・
テクノロジー社
PIC16F17781800
Max
本回路では、小さい
インサーキット
デバッカー
同上PICkit41ソフト開発用
実回路不要
タクトスイッチ
(赤、A接点)
COSLAND
co,.Ltd
TS-0606-F
-N-R
1
スイッチング
Tr
東芝2SC181511.2
抵抗器
100,1k,2.2k,10kΩ
822定格1/2W 5%
フォトリレー東芝TLP241A(F(O112発光側
赤LED1IF:4mA(Min),10mA(Typ),
18mA(Max),
VF:2V(Typ)

各回路部の設計

DC24V→DC3.3Vの電圧変換回路(DC-DCコンバーター)設計

DC-DCコンバーターは、TDK製、型式CC3-2403SF-Eを使用しました。
DC24V→DC3.3Vに降圧します。
DC3.3Vは、PICマイコン、スイッチングTr、フォトリレーの発光側の電源とします。

採用理由:簡単回路で降圧値安定。(三端子レギュレーターに比べ高価)

接続先

ピン番号端子名接続先備考
1+VinDC24V元電源
2RCDC24VのGNDRC,ーVin,-Vout 共通GND
3ーVinDC24VのGND同上
5ーVoutDC3.3VのGND同上
7+VoutDC3.3V出力素子への電源

4,6ピンは、空きピン


本回路では、入出力リップル、コモンモード、反射ノイズ対策用回路は、付加していません。
ノイズ対策の回路設計には、周辺回路・条件等を総合的に考慮して、データシート”2.ノイズ低減対策”を参考にする事をお進めます

降圧回路の三端子レギュレーターについては、ハード版の”回路図と部品表”以降を参照して下さい。
但し、降圧は、DC24V→DC5Vです。

降圧部品についての別途 比較表を作成する予定です。

PICマイコンで4Hzパルス発生

パルス生成は、マイクロチップ・テクノロジー製の型式PIC16F1778を使用しました。
採用理由:ソフトでパルス生成するので周波数変更が容易。
     但し、ソフト開発環境が必要。

ソフトで4Hzタイミングのパルスを生成して、I/Oポートから1/0を出力します。

接続先

ピン番号端子名接続先備考
1Vpp//MCLR/RE3R6:10kΩPull-Up状態
3RA1SW-SPST2A接点スイッチ接続
開:パルス出力
閉:パルス無し
8,19VssGND
20VddDC3.3V
21RB0R1:1kΩ4Hzパルス出力

その他のピンは、空きピン

  • プログラム書き込み時の回路は、下の”PICマイコン(PIC16F1778)のソフト”章に掲載
  • ソフト設計については、下の”PICマイコン(PIC16F1778)のソフト”章で説明します。

DC3.3V→DC24V 4Hzパルス スイッチング回路 スイッチングTrとフォトリレー

スイッチング トランジスタに、東芝製、型式:2SC1815を採用
採用理由:フォトリレーをドライブする一般的な方法

同じ機能として、ロジックIC インバーターでスイッチング機能を実現した回路を紹介します。

4Hzパルス周期で、DC24Vを制御するために東芝製フォトリレー 型式:TLP241Aを採用
採用理由:オン電流大。ON/OFF制御だけですとフォトカプラより容易、
     但しON/OFF遅延大

以下の使われている公式は、

  • オームの法則:V=I×R
  • キルヒホッフの第一法則:Σ入力電流=Σ出力電流
  • キルヒホッフの第二法則:Σ起電圧=Σ電圧降下
  • 消費電力計算:W=R×I2

    を基本に計算しています。

以降、計算値と検証値、評価値を比較をしますが、差異が小さい結果となります。

必要なデータを各部品のデータシートから抜粋

PIC16F1778のI/Oポート”RB0″の出力仕様(I/Oポートの電気的仕様から抜粋)
I/O port仕様:出力タイプCMOS(General purpose I/O)VDD=3.3V Standard I/O port

項目記号単位備考
ハイ出力電圧VOH2.6(MIN)VT2トランジスタへのハイレベル(Min)の入力値
VOH=VDD-0.7V=3.3V-0.7V
ハイ出力電流IOH3mA・マイコンが、出力出来る電流値
・T2トランジスタに流れ込む電流をIBR=1mA<IOH
 になる様に抵抗値を決めます。
ロー出力電圧VOL0.6(Max)V
ロー出力電流IOL6mA電流方向は、マイコンに入り込む電流値

注意:接続するポート数、機能状態により、電圧値、電流値は違います。詳細は、データシートを参照

T2トランジスタ2SC1815 仕様 (データシートから抜粋)

項目記号単位備考
ベース・エミッタ
間飽和電圧
VBE0.7V0.6V~0.8V幅の真ん中としました。
直流電流
増幅率
hFE100(Max)計算上は、IB(1mA)×100=ICとなり、ICは、100mAまで流せる事になります。
コレクタ・エミッタ間飽和電圧VCE(sat)0.1VVCE(sat)-IC特性から算出

IB:ベース電流
IC:コレクタ電流

U2 フォトリレーTLP241A 仕様(データシートから抜粋)

項目記号単位備考
入力順電圧VF1.27V
入力順電流IF5(Min),7.5(Typ),25(Max)mA本回路では、IC=IF=10mA(目標値)
受光側オフ電流IOFF1000nAオフ電圧VOFF=40V
受光側オン抵抗RON60(Typ),100(Max)mΩオン電流ION=2.0A, IF=5mA, t<1s

4Hzパルス スイッチング回路図を下記に示します。

持ち合わせの都合上、2つの直列接続となっている抵抗器があります。

抵抗器R1,R2の値を決めます。
① PICマイコンの出力電流 IBRの目標値を1mA<IOH:3mA(PICマイコンPB0ハイ出力電流)
とします。
持ち合わ抵抗器とのすりあわせを行います。
結果:R1=R2=1kΩ、IBR=0.95mAとなりました。

詳細解説:
IBR電流の計算式

RB0出力電流IBR =(ハイ出力電圧VOH-ベース・エミッタ間電圧VBE)÷(R1+R2)

IBR目標値1mAとして、R1,R2を算出
(R1+R2) =(2.6Vー0.7V)÷ 1mA=1.9kΩ
手持ちの抵抗器の都合上から、R1=R2=1kΩ(計2kΩ)としました。
決まった抵抗値から、電流値IBRを算出
(2.6V-0.7V)÷ 2kΩ=0.95mA

評価時に、実回路を使いVOHを測定した値で、IBRを再計算します。

抵抗器R7の値を決めます。
② ノイズ対策用にT2トランジスタのベースとエミッタ間に抵抗器を接続してGND側にノイズを流す回路を作成します。
プルダウン用に抵抗器R7:10kΩとしました。

マイコンによっては、電源立ち上げ時過度的に出力端子の電圧が不安定になる事が有り、
この対策回路が必要となる場合もあります。

T2トランジスタ(Tr)のベースに流れる、IB電流値
IBの電流値は、0.88mAとなります。

詳細解説:

IBR=TrのIB+R7の電流
R7の電流=TrのVBE÷R7
TrのIBを求める式にすると

ベース電流IB=RB0出力電流IBR -(ベース・エミッタ間電圧VBE ÷ R7)

IB=0.95mA -(0.7V ÷ 10kΩ)=0.88mA

抵抗器R3,R4の値を決めます。
④ フォトリレー IF(=IC)の目標値を10mA<IF:7.5(Typ)、25mA(Max)
(フォトリレーの入力順電流)とします。
持ち合わ抵抗器とのすりあわせを行います。
結果:R3=R4=100Ω、IF(=IC)=9.65mAとなりました。

詳細解説:
IF(=IC)電流の計算式

入力順電流IF=
(電源電圧VDD ー( 入力順電圧VF + コレクタ・エミッタ間飽和電圧VCE(sat) ) ) ÷
(R3+R4)


(R3+R4)=(3.3V ー(1.27V+0.1V))÷ 10mA=193Ω
手持ちの抵抗器の都合上から、R3=R4=100Ω(計200Ω)としました。
決まった抵抗値から、電流値IFを算出
IF=(3.3V -(1.27V+0.1V))÷ 200Ω=9.65mA

抵抗器の消費電力のチェック

消費電力W=入力順電流IF ×入力順電流IF × R3 —– (a)

W=9.65mA × 9.65mA × 100Ω = 0.01W< 抵抗器の定格電力1/2W
抵抗器の定格電力が大きいため問題無し。

LED4Hz点灯回路

抵抗器R5,R6の値を決めます。

LED仕様

項目記号単位
順方向電圧VFL2V
順方向電流IFL4(Min),10(Typ),
18(Max)
mA

LED4Hz点灯回路を下記に示します。
    同じLEDを使った別回路は、LED 4Hz点灯回路 ハード版 を参照

LEDの入力順電流IFLの目標値5mAとしました。

入力電圧(PICマイコPB0出力)とLED点灯の
関係は、インバートの状態となります。

① フォトリレー発光時の電流とLEDの状態
 受光側オン抵抗RON:100mΩ(Max)となり、     
LED:OFF(消灯)

 フォトリレー発光時の電流
 DC24V ÷(2.2kΩ+2.2kΩ)= 5.45mA
 < フォトリレーION=2Aのため、問題無し

② フォトリレー消灯時の電流とLEDの状態
 受光側オフ電流:IFL=1000nA、ほぼ流れないと判断→①方向の電流無し。
 ②に流れる回路となり(LED点灯)、電流値5mAから抵抗値を計算

(R5+R6) =(電源電圧DC24Vー順方向電圧VFL)÷ 順方向電流IFL

(R5+R6)=(24Vー2V) ÷ 5mA=4.4kΩ
R5=R6=2.2kΩとします。

抵抗器の消費電力のチェック
式(a)から
消費電力W=5mA × 5mA × 2.2kΩ = 0.055W< 抵抗器の定格電力1/2W
抵抗器の定格電力が大きいため問題無し。

IFL 5mAと仕様に対し小さめですが、発光を確認でき来たので、R5=R6=2.2kΩとしました。
本報告は、LEDを点灯させる事が目的でなく、DC3.3V パルスでDC24Vを制御する事が目的です。

回路検証(TINA-TI回路シミュレーション)

一部回路のTINAーTI回路シミュレーションを行いました。
対象になった、回路は、以下の回路部です。

T2 トランジスターのスイッチング機能をTINA-TI 回路シミュレーションを使い確認を行います。
本回路のTINA-TI 回路シミュレーションの詳細はこちらを参照

シミュレーション値と計算値の比較表

項目VOH
[V]
IBR
[mA]
IB
[mA]
IC
[mA]
スイッチ
機能
備考
トランジスタ-ON
シミュレーション
2.60.890.8199.4ONPB0ポート”ハイ”出力
トランジスタ-OFF
シミュレーション
0000OFFIBR,IBは、マイコン側に過度的
に0.5mA(Max)流れ込みます。
トランジスタ-ON
計算
2.60.950.8888ONIc(88)=IB(0.88)×hFE(100)

上記、スイッチング回路は、回路シミュレーションを実行してスイッチング機能に問題無いことを確認しました。

PICマイコン(PIC16F1778)のソフト設計

PIC16F1778マイコンのソフトプログラムを使い、4Hzパルスを発生させます。

4Hzパルス ソフト仕様

下記に、4Hzパルス ソフト仕様を示します。

  • PICマイコン内のPLLを使い、システムクロック16MHz
  • PB0出力ポートから4Hzパルスを発生
  • PA1入力ポートで、4Hzパルス出力をON/OFF制御
  • 遅延関数を使い、4Hzパルスを発生
    (精度は、問いません)
  • プログラム書き込み時のVDD=5V

ソフト開発支援環境

  • MPLAB X IDE 統合開発環境
    内装されている、MCC(MPLAB Code Configurator)も使います。
  • MPLAB Cコンパイラ
  • PICkit4 インサーキットデバッガー
    最新版:PICkit5も有り(2023/12/14現在)

MPLAB X IDE、XC8は、マイコロチップ社製フリーソフトです。
PICkit4は、有料 価格は、13,800円(秋月電子通商で2023/6/14 購入)

プログラム書き込み回路

PICkit4を接続する回路を、下記に示します。

”U3 ブロック1”のコネクタは、ICSP インターフェース(I/F)です。
ICSP I/Fは、PICkit4と接続します。
PICkit4は、USB I/Fを経由してPC:パソコンと接続しプログラムをマイコン内のフラッシュメモリーに書き込む事や、ソフトデバックを行います。

CONFG1/2レジスタを設定

CONFG1レジスタ設定(プログラム書き込み)

FCMENIESO/CLKOUTENBOREN1BOREN0/CP
bit13 1111111
MCLRE/PWRTEWDTE1WDTE0FOSC2FOSC1FOSC0
1100100 bit0

主なビットの設定説明

FCMEN:フェイルセーフ クロック モニタは有効
IESO:内部/外部スイッチオーバ モードが有効
BOREN<1-0>:BOR(ブラウンアウト)常に有効(SBORENビット無効となります。)
MCLRE=B’1’:入力モード、プルアップ有効(LVP=0)
WDTE<1ー0>=ウォッチドック無効
FOSC<2-0>=INTOSC オシレータ設定。下図、クロック選択経路”C部選択
その他ビット、無効設定

CONFG2レジスタ設定(プログラム書き込み)

LVP/DEBUG/LPBORBORVSTVRENPLLEN/ZCD
bit13 0011101
PPS1WAYWRT1WRT0
111 bit0

主なビットの設定説明

LVP:/MCLR/VPP で高電圧を使用してプログラミング設定
/DEBUG:インサーキット デバッガは有効
BORV:ブラウンアウト リセット電圧は 1.9V
STVREN:スタックのオーバーフローまたはアンダーフローによりリセット
PPS1WAY:PPSLOCK ビットは、ロック解除シーケンスの実行後に 1 回だけセット可能
WRT<1-0>:書き込みプロテクションはオフ
その他ビット、無効設定

システムクロック16MHz設定

PIC16F1778のデータシートから抜粋した、クリック選択経路を下記に示します。

OSCCONレジスタ設定(プログラム書き込み)

SPLLENIRCF3IRCF2IRCF1IRCF0SCS1SCS0
bit7 01111010 bit0

主なビットの設定説明

IRCF<3-0>:16 MHz HF。上図 、”クロック選択経路”のA部選択
SCS<1-0>:内部オシレータ クロック。上図、”クロック選択経路”のB部選択
その他ビット、無効設定

OSCTUNEレジスタ設定(プログラム書き込み)

TUN5TUN4TUN3TUN2TUN1TUN0
bit7 00000000 bit0

主なビットの設定説明

TUN<5-0>:オシレータ モジュールは工場で校正済みの周波数で動作
その他ビット、無効設定

BORCONレジスタ設定(プログラム書き込み)

SBORENBORFSBORRDY
bit7 0000000 bit0

主なビットの設定説明
SBOREN:無効
BORF:無効
BORRDY:ブラウンアウト リセット サーキット レディ ステータス リード ビット
その他ビット、無効設定

RA1、RB0ポート設定

PIC16F1778のデータシートから抜粋した、ポート回路図を下記に示します。

PORTAレジスタ リード(プログラム読み込み)

PA7PA6PA5PA4PA3PA2PA1PA0
1/0

PA1:リード ビット。4Hz パルスON(”1”)/OFF(”0”)制御用
   上図、ポート回路図の”Data bus”に接続
その他ビットは、リード対象外

PORTBレジスタ ライト(プログラム書き込み)

RB7PB6PB5PB4PB3PB2PB1PB0
1/0

PB0:ライト ビット。4Hz パルス出力
   上図、ポート回路図の”Data bus”に接続
その他ビットは、ライト対象外

TRISAレジスタ設定(プログラム書き込み)

TRISA7TRISA6TRISA5TRISA4TRISA3TRISA2TRISA1TRISA0
1

TRISA1:PA1入力ポート設定
その他ビットは、デフォルト値

TRISBレジスタ設定(プログラム書き込み)

TRISB7TRISB6TRISB5TRISB4TRISB3TRISB2TRISB1TRISB0
0

TRISB0:PB0出力ポート設定
その他ビットは、デフォルト値

ANSELAレジスタ設定(プログラム書き込み)

ANSA5ANSA4ANSA3ANSA2ANSA1ANSA0
0

ANSA1:PA1入力ポートデジタル設定
その他ビットは、デフォルト値

ANSELBレジスタ設定(プログラム書き込み)

ANSB5ANSB4ANSB3ANSB2ANSB1ANSB0
0

ANSB0:PB0出力ポートデジタル設定
その他ビットは、デフォルト値

WPUAレジスタ設定(プログラム書き込み)

WPUA7WPUA6WPUA5WPUA4WPUA3WPUA2WPUA1WPUA0
1

WPUA1:PA1入力ポート プルアップ設定
その他ビットは、デフォルト値

OPTION_REGレジスタ設定(プログラム書き込み)

/WPUENINTEDGTMR0CSTMR0SEPSAPS2PS1PS0
0

/WPUEN:プルアップ設定許可 (WPUxの”プルアップ設定”の場合、必要)
その他ビットは、デフォルト値

WPUB、ODCONA/B、SLRCONA/B、INLVLA/Bレジスタは、デフォルト値

メインプログラム main.cの作成

MPLAB X IDEで生成した、メインプログラム main.c を編集します。
main.cを下記に示します。

“// Add your application code”以降に4Hzパルス出力プログラム作成
A部は、2回ループして4Hzパルス生成(オーバーヘッドを最小にしたつもりです。)

実際は、ソフト開発支援ソフト MPLAB X IDE、XC8、MCCを使い、プログラム作成をしました。
詳細説明は、こちらを参照

実回路と評価(オシロスコープ使用)

DC24V 4Hzパルス回路設計(ソフト版)の実回路を制作しました。

ブレットボードを基板として、実装しました。

評価

測定機器

安定化電源:
IKococater 可変安定化電源 0-30V 0-10A 4桁電圧電流表示

オシロスコープ:
RIGOL デジタル・オシロスコープ DS1202Z-E 2ch

テスター:
オーム電機 デジタルテスター TST-KJ830

測定機器の精度について
評価に使う、安定化電源、測定器(テスター、オシロスコープ)は、個人所有の物であり、各測定装置の校正を行っておりませが、前提として本装置での測定値を正しい値とします。
家庭用AC100Vは、日や時間帯により電源の状態が変わり、これが安定化電源の出力電圧に多少影響を及ぼす事が有りました。

測定項目

  1. DC24Vからの降圧値。電力値
  2. PIC16F1778マイコンから4Hzパルス生成
  3. 4Hzパルススイッチング制御電流値
  4. LED4Hz点灯タイミング、電流値
  5. LEDまでのON/OFF遅延時間

測定部位

波形名 A波形からE波形までの測定部位を下図に示します。

オシロスコープのプローブチャネル
①:1ch
②:2ch
プローブグランドリードは、全て回路のGNDに接続

1.DC24Vからの降圧値。電力値

回路電源測定
DC-DCコンバーターの出力電圧値を下記の表に示します。
仕様値は、データシートから抜粋

項目出力電圧仕様 [V]測定値 [V]備考
DC-DCコンバータ
出力電圧
3.15~3.63.3入力電圧仕様:
DC18~36V

DC-DCコンバーターの出力電圧値:DC3.3V一定を確認出来ました。

消費電力測定(DC3.3V系

消費電力について、仕様と測定値を、下記表に示します。

項目電力仕様
[W]
測定値
[W]
備考
消費電力2.64 (Max)0.039計算値:0.836W
マイコン0.8W(Max分)

DC-DCコンバーターの電力能力内で有ることを確認出来ました。

2.PIC16F1778マイコンから4Hzパルス生成

PIC16F1778マイコンから出力する電圧波形を、下記に示します。

A波形:出力周波数、IBR電流

測定 PB0端子の出力電圧値:3.18V >(VOH=2.6V(min))問題ありません。
周波数値:3.98Hz(251ms)、目標値4Hz近似値のため問題無

3.4Hzパルススイッチング制御電流値

T2トランジスタ2SC1815(Tr) 観測波形から、IBR、IB、IC計測

F波形:IBR、IB電流

A波形、F波形からIBR、IB電流を計測

IBR電流値

IBR=R1の電流=(R1の電圧降下)÷(R1の抵抗値)
=(3.18V(A波形:1ch)ー 1.94V(A波形:2ch))÷ 1kΩ=1.24mA

IB電流値

IBR=IBR ー(VBE÷R7)
=1.24mA ー(693mV÷10kΩ)= 1.171mA

本TrのVBEの飽和電圧=0.693Vで有ることが分ります。
計算値は、VBE=0.7Vで設定

TrスイッチOFF時のVBE電圧は、0.04V以下で有ることが分ります。

C波形:IC(IF)電流

C波形からICを計測

IC=(R3の電圧降下分)÷(R3の抵抗値)
=(2.35Vー1.32V)÷ 100Ω=10.3mA

上記波形、”測定 PB0端子の出力電圧値:3.18V”を元に、再計算、再シミュレーション、
計測値の比較h表をまとめました。

再計算

上記波形、”測定 PB0端子の出力電圧値:3.18V”を元に、IBR、IB、ICを再計算
計算式の詳細は、
上記 ”DC3.3V→DC24V 4Hzパルス スイッチング回路 スイッチングTrとフォトリレー” 項目を参照

IBR電流値(抵抗を経由したTrのベース電流)
IBR=(PB0出力値:3.18V)ーVBE)÷(R1+R2) =(3.18ー0.7)÷(1kΩ+1kΩ)=1.24mA

IB電流値(Trに流れ込むベース電流)
R7の電流値 =VBE÷R7=0.7V ÷10kΩ = 0.07mA
IB=(IBRーR7の電流値)=1.24mAー0.07mA =1.17mA

IC電流値(Trに流れ込むコレクタ電流)
9.65mA (計算値変更無)

再シミュレーション

上記波形、”測定 PB0端子の出力電圧値:3.18V”を元に、IBR、IBを再シミュレーション

IBR=1.21mA
IB=1.13mA

測定した、PB0出力電圧3.18Vから
TrがONの時のIBR、IB、IC 計算値、シミュレーション値、計測値を下記、表にまとめました。

項目測定値
PB0出力電圧[V]
IBR[mA]
目標値1mA
IB[mA]IC[mA]
目標値10mA
波形から計測3.181.241.17110.3
計算3.181.241.179.65
シミュレーション3.181.211.14ーー

実回路の測定と設計計算、シミュレーション値に差異が無いことを確認出来ます。
設計時の目標値:IBR=1mA、IC=10mAは、PB0の出力電圧値により若干の違いが出てきますが
満足した回路と思います。

4.LED4Hz点灯タイミング、電流値

LEDーON(フォトリレーOFF)に流れるID電流を測定します。

E波形:ID電流

E波形からID電流を計測

LEDーON 点灯(フォトリレーOFF)

  • ID(LED電流)= R5電圧降下÷ R5
    =(12.6Vー1.8V)÷ 2.2kΩ= 4.9mA
  • 設計値ID=5mAと差異問題無し
  • 仕様:順方向電圧VFL=2Vに対し→観測値1.8V

LEDーOFF 消灯(フォトリレーON)

  • 観測値VFL=1.8V > 0.3V LED消灯
  • ID(フォトリレー電流)=(12Vー0.3V) ÷ 2.2kΩ=5.3mA、
    設計値5.45mAと差異問題無し

5.LEDまでのON/OFF遅延時間

T2トランジスタ2SC1815(Tr)のON/OFF遅延

B波形

Tr-ON遅延
80ns

Tr-OFF遅延
1.176us

各波形90%時点からの測定

T2トランジスタ2SC1815(Tr)から U2 フォトリレーTLP241AまでのON/OFF遅延時間

D波形

Tr-ON→フォトリレ-ON→LED-OFF遅延
2.03ms

Tr-OFF→フォトリレ-OFF→LED-ON遅延
215us

各波形90%時点からの測定

スイッチングON/OFF遅延比較表

項目PB0出力
VOH[V]
(min)
LED
OFF遅延
[ms]
LED
OFF遅延
[ms]
備考
フォトリレー
のみのON/OFF遅延
仕様
2.62.8(Typ)
5(Max)
0.1(Typ)
1(Max)
フォトリレーON/OFF遅延
仕様より抜粋
PB0からLED-ON/OFF遅延
測定
3.182.030.215PB0出力→Tr→
フォトリレーON/OFF波形
90%より測定

仕様内遅延となっています。

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