機械式リレーを使った通信回路

エレキ設計

この記事でわかること

機械式リレーの通信回線の説明と簡単な回路を紹介します。
本通信は、回路構成が簡単で、通信プロトコル無しです、知っていると便利な技術と思い記事にしました。

機械式リレー回路の通信とは

通信回路と言えば、RS-232C、I2C、イーサネット、その他、既存の通信方式を使い設計する事を考えます。これらは汎用性は有りますが、専用の部品・決まった回路が必要となり、また専用のソフトも必要で複雑化します。
システム内で閉じた通信、簡単な操作ならば、上記の通信方式(RS-232C等)に準ずる必要は無いと思います。
例えば、近距離で人が操作するコントロールボックス(Aー装置)から簡単な操作を本体装置(B-装置)に命令する場合に本通信は最適な回路です。

本リレー回路を使った通信回路の特長は、下記です。

  • 単方向通信方式で、基本は、一対一の通信回線です。
  • 下記回路は、A-装置→B-装置の通信ですが、逆の回路にすればB-装置→A-装置通信も出来ます。(回路構成により、全二重通信方式が可能です。)
    例えば、
    コントロールボックス(A-装置)から本体装置(B-装置)の起動/停止制御、メンテナンス時の操作に使用出来ます。
    本体装置(B-装置)からコントロールボックス(A-装置)には、警告転送等が出来ます。
  • 通信速度は、遅くても問題無い環境に対応。
  • A-装置のリレー(接点側)とB-装置のリレー(コイル側)回路は、閉じた回路にします。
    (回線は、電源・GNDが専用の回路構成。)

下記に、Control BoxとDevice間をシールと付きケーブルで接続した ”リレー回線と電源エリア構成図”を示します。

リレーのコイル部と機械接点部が絶縁関係の為、両者電源を独立した回路構成(ブルー色部)ができます。通信専用の電源(VDD1)にする事が出来、シールド付きケーブル(出来れば:より線有り)で接続すれば閉じた回路構成となり、周辺回路の影響(ノイズ)を受けにくいデータ転送が出来ます。

図:リレー回線と電源エリア構成図

電源:
ブルー色
 VDD1:リレー回線専用の電源
 GND1:リレー回線専用のグランド
グリーン色
 VDD2:コントロールボックス側の電源
 Input:入力信号 VDD2レベル
 GND2:コントロールボックス側のグランド
オレンジ色
 VDD3:装置:本体側の電源
 GND3:装置:本体側のグランド
 Output:出力信号 VDD3レベル
FG:フレームグランド(本体側のフレーム接続)

回線数とリレー数は、対となります。
複数回線の場合は、電源・グランドラインの電流容量を考慮して共通化出来ます。

機械式リレーの通信回路

回線距離10mぐらいならデータ転送は、問題ないです。
回線は、シールド付きケーブル(より線有り)を推奨します。

機械式リレーの通信回路

下記に、機械式リレーを使った通信回路”A-装置→B-装置の信号転送の機械式リレー通信回線図”を示します。

1ライン1又は2命令です。(例えば、起動/停止コマンド)
例えば、人が操作するコントロールボックス(A-装置)です。ボックスの起動ボタン、停止ボタンを押下してシールド付きケーブルを経由して本体装置(B-装置)を制御します。

回路説明

Input:ON:電圧 ハイ(VDD2)をコマンド(起動)として入力します。
コントロールボックス側のRelay-A (A接点)コイルON(A接点クローズ)により、A-signal(回線)は、VDD1出力となります。
右側は、本体装置側のRelay-B(B接点)のコイルON(B接点オープン)、Output:電圧 ハイ(VDD3)起動コマンドを受信します。

Input:OFF:電圧 ロー(GND2)をコマンド(停止)として入力します。
コントロールボックス側のRelay-A (A接点)コイルOFF(A接点オープン)により、A-signal(回線)は、開放状態となります。
右側は、本体装置側のRelay-B(B接点)のコイルOFF(B接点クローズ)、Output:電圧ロー(GND3)停止コマンドを受信します。

以上より、Control Boxから本体装置への起動(VDD3)/停止(GND3)の操作を行う事が出来ます。

A-装置→B-装置の信号転送の機械式リレー通信回線図

VDD1:コントロールボックス リレーA接点・装置リレーコイル・回線の電源
GND1:コントロールボックス リレーA接点・装置リレーコイル・回線のグランド
VDD2:コントロールボックス リレーコイル・PLCの電源(今回省略)
Input:入力信号(PLCからは出力信号)VDD2レベル
GND2:コントロールボックス リレーコイル・PLCのグランド
VDD3:装置リレーB接点・回線出力電圧レベル(ハイ)
Output:出力信号 VDD3/GND3レベル
GND3:装置リレーB接点・Outputグランドレベル(ロー)
Relay-A:A接点リレー
Relay-B:B接点リレー
R:抵抗器
FG:フォレームグランド(本体側のフレーム接続)
VDD1/VDD2/VDD3:5V~24V

回線数は、A-signal回路構成数とケーブルの芯数を増やします。

機械式リレーの抵抗Rの値について

( 抵抗R << outputに接続する負荷抵抗 )の関係に有ること。
かつ、(VDD/R< 接点定格電流)の関係に有ること

リレーに接続する保護ダイオード、保護抵抗値は、割愛しています

機械式リレー通信タイミング

下記に、”機械式リレーの通信タイミング”を記述します。

機械式リレー通信タイミング図

電圧レベル:
VDD1:通信回路ハイレベル
Open:ハイーインピーダンス状態
VDD2:コントロールボックス側ハイレベル
GND2:コントロールボックス側ローレベル
VDD3:本体装置側ハイレベル→装置起動
GND3:本体装置側ローレベル→装置停止

回線の説明:
Input:コントロールボックス側のPLC等から  
    ON(起動)/ OFF(停止)制御信号
A-signal:回線の信号
Output:装置側、装置起動/停止制御信号

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